本気ッ♂043


「セイのコトだから
大丈夫だよねッ!?」

何かアクシデントが
あったワケじゃないよね!?


「……」

「カノンくんッ!?」


どうして
アナタは黙り込んで
いるんですかッ!!!


嫌な予感に背筋が凍った。


「カノンくんッ!

セイに電話しようッ!
電話ッ!」


直接、セイに
確かめるのが一番だ!


私は
カノンくんのポケットから

少女のケータイを
取り出そうとして

「あッ」

カノンくんの生徒手帳を
落としてしまう。

ぬかるんだ地面。


「ごめんッ!」

地面に落ちた生徒手帳を
私は慌てて拾い上げ

自分の脇の下で泥を拭った。


「……」

なまじ拭き取らずに
返した方がよかったのか。


焦っているときに限って
手痛い失敗の上塗り塗りッ。


「…中は大丈夫だよね?」


開き見ようとした私の手から

カノンくんが
泥だらけの生徒手帳を
無言で取り上げる!


「……」

「……」

「…今の、セイの写真?」

「……」


カノンくんの生徒手帳の
カバーの中に
ちらり、垣間見えたのは

確かに、セイの写真で。