「…処分したハズの
葬式のときの写真の切れ端

こんなトコロにも
紛れ込んでいたんだ。

それとも
またルームメイトに
イタズラされてたのかな」


なんて。


カノンくんは
私が尋ねてもいないコトを

早口で釈明していて。


「ごくんッ」


…こんな緊急時に

すんごく勘繰りたく
なってしまう
この衝撃は何ッ!?


「ほら!
先輩に電話するんじゃ
なかったんですか?」

私の疑問を
かき消さんと言わんばかりに

カノンくんは

私の手に握られていた
少女のケータイの
ボタンを押して

「はい!」

私の耳元に押しつけた!


怪しいッ。

怪し過ぎるけどッ。


今は確かに
それどころじゃないッ。


「セイ、早く電話に出て!」


祈るような気持ちで
私はケータイに
意識を集中した。


だけど。


「どうして
ケータイに出てくれないのッ」


何でッ。

どうしてッ!?


「留守番センターに
繋がっちゃったよッ!!!」


パニクる私を横目に


「…水の中に沈んでいたら

音にもバイブにも
気づかないかも、ですね」


なんてッ。