それってッッ!!!

「セイが水の中に
沈んでいるってコトッ!?」


思わず

目の前にいたカノンくん
めがけて

私のツバが大量に飛ぶッ。


「…水位が胸元まで
上がっていたら

ケータイも
水の中でしょう、って
意味です」


大雨の中

ツバが飛んできたコトを
アピールするように

カノンくんが自分の顔を
制服の袖口で拭った。


「…だったら
セイが大丈夫な可能性
まだまだ残ってるよね!?」

「……」


「ケータイが鳴ってるのに
気づかないくらい
必死になって

今、こっちに
向かっているんだよね?」

「……」


私の必死の問い掛けにも
カノンくんは
眉をひそめたまま
黙っててッ。


「…ツバが飛んだくらいでッ

気分を害して
無視するコトないじゃ
ないッ!!!」


カノンくんの
不誠実な態度に

思わず怒りのテンションが
マックスになるッ。


「…あの、ですね〜」

「何ッッ!?」


「セイ先輩って

もしかして
肩を負傷して
いませんでした?」


「え…」


カノンくんの思わぬひと言に

私の怒りのモードも
停止した。


「肩って…」


「ずっと、家でも
気になってたんですが

セイ先輩

肩を庇って
生活してませんでした?」