肩や肋骨なんて

もうとっくに
治ったんだとばかり
思い込んでいた。


先生のトコロで
最先端の治療を
受けていたから

治りも早かったのだと…。


「でもッ
だったらッ何でッ!?」


セイがそんな状態だと
気づいていながら


「カノンくんはッ

どうして
そんなセイを
地下に残してきたり
出来たのよッ!?」


「…伝えなければ
いけないコトなら

セイ先輩は自分の口で
伝えていたんじゃ
ないんですか?」


「そんなのッ」


「セイ先輩は
アナタのコトだけは
100%確実に
助けたかったんでしょうね」


「……」


「…泳げないあの少女や
負傷しているセイ先輩と
一緒に行動していたら

アナタのコトだ。

自分の危険をかえりみず
無茶をするでしょう?」


「そんなのッ」


「先に脱出しろと言われて
トーコさんは素直に
セイ先輩の言うコトを
聴き入れていましたか?」


「そんなのッ
全然、納得できないッ!

たまたま通りがかったヘリが
私達を見つけてくれたから

あの娘だって
助けて貰えたけれどッ」


もしヘリが
通りがかってなかったら
どうなっていたのか。


「…報道のヘリだって
偶然通りがかったとは
限らないし」


「セイが、電話して
呼んだって言うの?」

「…おそらく」