こんな悪天候の中を
かえりみず

ヘリを出すなんて
普通なら有り得ない。


「おいしいネタがあると
確信した
報道関係だから、こそ

出せたヘリですよ」


「……」


「ヘリから降りてきたのが

縄バシゴじゃなく
ロープ、ってトコロが

偶然を装っていて
実にいい画だったじゃ
ないですか」


…だとしたら

余計、おかしいんじゃ
ないだろうか。


そこまで考えて
行動していたセイが

未だに地下に
ひとり取り残されて
いるなんて…!


「…セイの身に
何か予期できなかった
アクシデントとか

あったんだ…!」


嫌な予感が確信になって

私を襲って。


「…セイをッ

セイを助けにいかなくちゃ」


濁流が押し寄せる岩場を
駆け降りようとした私の腕を

カノンくんが強い力で
掴んで離さない!


「ダメですよ!

アナタをセイ先輩の元に
行かせるワケには
いきません!」


「放してッ!」

健常な状態のセイなら
きっと何か考えがあっての
コトかも、って

思えたかもしれないけれど。


「何があっても
トーコさんを守れ、と

セイ先輩から
頼まれたんです!

放すワケには
いきませんからッ」


カノンくんの発言に

「え…」

私の動きも止まってしまう。