本気ッ♂044


幼い頃
私は泥んこ遊びが
嫌いだった。


幼いながらに
洋服には
こだわりがあったし。


幼稚園から帰ってくると
タンスの中の洋服を
床の上に並べては

何を着ようかと
あれこれコーディネートに
悩むのが楽しかった。


「ま〜た
こんなに散らかして!」

片づけが嫌いなママが

そんな私に今日も
溜息、苦笑する。


「今日はコレにするんだッ」


まあるい襟の白のブラウス。

クリーム色の
長袖のトレーナーは

イチゴのショートケーキと
クマのアップリケが
お気に入り。

スカートは
赤のタータンチェック。

ハイソックスは
クマの刺繍入りの白ッ!


「うふ、うふふッ」

鏡に自分の姿を映しては
悦にいっている私の横で

ノロマなセイが
やっとノソノソと
着替えを始めていた。


「ママ!
ウサギの耳みたいにして!
赤いおリボンつけて!」

ヘアブラシを持って
私は忙しいママの後ろを
追い回す。


「後でね!」

「ママッ!」

「これが終わったらね!」

「ママ!」

「今、手が離せないから!」


しつこく食い下がった結果
ようやくママが観念して

「ブラシ、よこしなさい」

私の髪の毛を結い始めた。


「ちょっと、セイちゃんッ」