私がママに髪を
結いあげて貰っている横で

セイがマイペースで
着替えをしているのだが。


「どうして
私の洋服のマネばっか
するのかなッ」


私とコーディネイトが
まる被りッ。


スカートが
半ズボンになっただけで

ペアルックのお揃い状態ッ。


「あらあら、仲良しさんね」


ママは無責任に
笑ってるけどッ。


「おそろいなんて
カッコ悪いッ」


同じ服を着ていても
かわいいね、って
声を掛けて貰えるのは

いっつも決まって
セイの方で。


せっかく
うさぎみたいな髪型
して貰ったのに

赤いおリボンだって
つけているのに


今日もきっと

かわいいね、って
みんなに囲まれるのは
セイなんだッ。


「何を言ってるの。

幼稚園では
みんなと同じ制服
機嫌良く着ているじゃない」

ママは何にも
わかってないッ。


「ほら、セイ。
襟のボタン留めてあげるわ」

かわいいセイを
ママが甘い声で呼び寄せた。


「3歳にもなって
ボタンも
自分で留められないんだッ」


「あッ、トーコちゃん
待って!」


お着替え中のセイを放って
私はひとり家を出る。


「…冗談じゃないッ」

おそろいの服来た
セイちゃんなんかと

誰がいっしょに
遊べるもんかッ。


今日は特別可愛く
仕上がったんだからねッ。