このちいさな弟は
私が傍についてなきゃ
ダメなんだ。
私が手を差し出すのを
待ってるコトしか出来ない
そんなセイだから…。
「セイ…!」
幼い頃
あれ程
自分の洋服が汚れるのを
嫌がっていた私も
洋服なんかより
大事なモノがあるコトを
いつし覚え
「ゴボッ、ボボッ、ゴ」
私は今
濁流にもまれている。
身を切るような
冷たい水。
洗濯機の中で悶える
体操着のように
私は抗う術もなく
流されていた。
どこから流れついたのか
長靴やら
タイヤやら
木の板やら
容赦なく
私のカラダを甚振っていく。
「セイが…!」
セイが
私を待っているんだから
!!!!!!
諦めちゃいけない!
流されてちゃいけない!
私は
流れている板きれに向かって
手を伸ばすと
「ぐはッ」
一瞬、水から顔が出た!!!