それってッ

「古傷が相当痛むのッ!?
腕も上がらないとかッ!?」


「……」

「……」


「…古傷、って。

トーコの中の時間経過って
恐ろしく早いのな」


セイが
ちいさく溜息をつきながら

…笑ってる?


「あんなささいな怪我で
腕が上がらなくなる
なんて発想。

トーコしか
思い浮かばないと思う」


こんなときにまで
セイは
何を言ってるんだろう。


あばら骨にひびが入って
断裂した筋肉の状態で!


「マンションから
吊るされて
すんごい重症だった
じゃないッ!」

「は?」

「強がりもいい加減に
しなさいよねッ!!!!」


よね〜、よね〜、よね〜。


私の怒声が
地下道にコダマした。


「……」

「……」


「…あのな」