何重にも
厳重に巻かれた絆創膏ッ。
まるで指人形みたいに
なっていてッ。
「なんて大袈裟なッ」
思わず
口をついてしまっていたッ。
「…お前なあ」
セイの目が鈍く光って。
「こんな汚水に
傷口が触れたら
細菌が入って
カラダがパンパンに
腫れあがるだろうが!」
セイが私の頬をまた
ぐにぐに、するッ。
「顔が2倍に腫れあがった
俺の姿を
そんなに見たいかッ」
…見たくありませんッ。
ああッ。
アナタはどんなときにも
その美に対しては
冷静で貪欲なのですねッ。
「でも、ちょうどよかった。
お前が
流れてきてくれた
おかげで
恥をかかずに済みそうだ」
「え?」
セイが
自分の制服のツメ襟を
軽く引っ張って。
「ホックが
上手く外れなくてさ」
「はい?」