「いや。
こういうの
ちいさい頃にも
あったな、って」
「え」
「襟元のボタン。
トーコに直して貰うの
好きだった」
「……」
…こんなカビ臭い
汚水まみれの地下道で
ふたりして
そんなやさしい想い出が
甦るなんて
なんだか、おかしいね。
「おしッ。外れたよッ」
私はシワシワの指で
セイの襟元を軽く弾く。
「よくできました!」
セイはにっこりと笑うと
私のカラダから
その片腕を離し
白い学ランを
片袖ずつ
器用に脱ぎ出した。
セイの腕から抜け出した
制服が
水の流れに乗って
あっという間に
消えてゆく。
「さあ!
地上に出るぞ!」
セイの手が
私の手をしっかりと握り
私達は地上へと進む。
もう二度と
私はこの手を離すまい。
熱愛ラッシュ!
本気ッ♂045
≪〜完〜≫
この作品をお読みになった
感想をお寄せください。
下記の感想の中から
ひとつ選び
【いいね!】ボタンを押すと
お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。
絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。