「トーコさんが掴んでいる
ロープの先

珍しい結び方を
しているでしょ?」


「え?、あ」

ホントだ。

普通の固結びとは
何だか違う…。


「船舶関係の訓練を
受けたヒトが
よく使う結び方なんですよ」

だから、手旗信号も
理解出来るハズだ、って

カノンくんが
長めのメッセージを
ヘリに送ると

カノンくんの手旗信号に

ヘリのライトが
点いたり消えたりして…。


「…ちゃんと
通じたみたいですね」


カノンくんがホッと
胸を撫で下ろした。


「トーコさんの腰に
縛りつけられた
このロープの結び方とか

ウチの学校は
海洋実習で習うんですよね」


私の腰から
ぶら下がっていた
水流にも負けなかった
ロープの結び目を

いとも簡単に解いて

カノンくんは
ヘリのロープと
編み込むようにして
結びつけた。


「…セイの学校って
そんなのも習うんだ」


「だから
セイ先輩は迷わず

僕をトーコさんと先に
脱出させたんでしょ?」


…そこまで考えてたなんて。