地上に出ても
この雨の中
目を開けているのが
やっとだ。
地下道の中の方がまだ
屋根があった分
マシだったような気がする。
「ここ、少し
地面が高くなってるからッ」
カノンくんを
水しぶきから逃れさた。
「待っててッ」
狭い岩場だけど
新体操をやっている
私にとっては
1メートルもあれば
バック宙だって出来るッ。
苔を1メートル四方程
削り取り
「よッ」
手をついて
逆立ちから側転!
岩場に登った。
岩場の上から垂れ下がってる
植物のツルを
何本かまとめて掴んで
引っ張ってみるッ。
「よしッ、丈夫そうだ」
ツルを腕に絡めて
身を縮めている
カノンくんの方に
私はおおきく身を乗り出して
手を差し出した。
「よッ」
なんとかカノンくんを
岩場の上に引き上げる。
ゴウゴウ、ゴオオオオオ。
巨大なバキューム。
泥水が地下道の入口に
飲み込まれていくのを見て
「……」
初めて
自分達の置かれていた状況の
恐ろしさを実感した。
「少し遠回りですがッ
このままッ
岩場に沿ってッ歩いてッ
あそこのッ樹までッ
移動しましょうッ」