「このドアの向こうは
階段が急だし
ガラスの破片が
水に混じっていて
危険だからな」
セイがすかさず
カノンくんの説明に
補足を重ね。
「……」
カノンくんが
セイの手元に視線をやった。
…セイの指の
痛々しい絆創膏。
地下道のドアを開けたときに
セイが怪我をした、と
カノンくんが
言っていたけれど。
少女のご学友が
うさ晴らしにやった
電球割り。
一時的な快感が
こうやって
とんでもないコトに
なっている、なんて
彼女達だって
想像もしなかっただろう。
「…ごめんなさい」
少女の消え入りそうな声に
セイもカノンくんも
振り返りもしない。
「カノン。お前は
島育ちだから泳げるよな?」
「何ですか?
その偏見的先入観は」