セイの決めつけに
カノンくんが
睨みを利かせていてッ。
「もしかしてカノンくんッ
泳げないとかッ!?」
「…泳いだコトが
ないだけですけど?」
「…それを
泳げないと言うんだが」
確かに
カノンくんの育った島は
セイが
船酔いしてしまうくらい
荒波の海で
海水浴ってカンジでは
なかったけれどッ。
…カノンくんは確か
水泳部の部員の毛剃りを
手伝ったとかって
言ってたから
「学校に
プールはあるんだよね?」
「ウチの学校の体育は
競技を選択できるからな」
チッ、とセイが舌打ちして。
「泳げないんなら
気絶させてたままにしてても
よかったな」
なんてッ!
「そ〜ゆ〜コト
冗談でも言わない方が
いいと思うよッ」
「俺はいたって本気だが?」
…こういうときのセイって
本当に意地悪だッ。
「ふたりともッ
私とセイがちゃんと
フォローするからねッ」
“セイが”というフレーズを
わざと強調して
自分の腰から
ぶら下がっていたロープを
私は少女とカノンくんに
手渡した。
「4人全員を
ロープで繋げたら
いざとなったときに
ロープが絡んで
危険だろうが!」
「えッ」
水だって
ヒザの高さなんだしッ。
「ロープが絡むような
状況にはならないかと…」