いきなり
セイに指名されて
私は
ハシゴの上で動揺したッ。
「さっさと降りて、と
言われましてもッ…」
確かに
少女が下に落下した反動で
ハシゴはおおきく湾曲し。
「さっきまで
私達がいた高さに比べたら
いくぶん低くは
なっているみたいだけれど…」
「今のお前の位置なら
ロープに
余裕で手が届くだろう」
「え。あ!」
セイの指摘に
さっきから
下ばかりをみていた私が
反対側に顔を向けると
すぐ傍にロープが見えるッ!
「よッ!」
少しだけ
身を乗り出すようにして
手を伸ばすと
滑車から
斜めに垂れ落ちていた
ロープを
簡単に掴むコトが出来た。
「ロープを
しっかり手繰り寄せて
公園の遊具のつもりで
自分で降りられるな!」
セイは
カノンくんから
目を離すコトなく
さっきから私に
後頭部を見せたまま
指示を出しているけれど。
…まともに
こっちを見てないで
適当に言ってるみたいに
見えるけど。
大丈夫なのかな。
「引っ張ったら
滑車が外れたり
壁が崩れてきたり
しないよね?」