だけど
宙づりになったおかげで
ラッキーにも
かなり床までの距離が
グンと縮まっていたから。
私は
ローブを手に巻きつけて
腹筋だけで
「よッ」
宙づり状態から
上半身を起こしッ。
何もなかったように
ボルトに引っ掛かっていた
ローラースケートの
ジョイントを外す。
スルルルル。
そのまま地味に
ロープを滑るようにして
私は簡単に
床に降りるコトが出来たッ。
ハシゴから降りてきた私に
少女が黙ったまま
懐中電灯の灯りを当てるッ。
「……」
「……」
何を言いたいのかは
想像がついたから
「セイッ。
何を手伝えばいいッ!?」
ローラースケートの
もう片足のジョイントを
外しながら
セイの元へと
近寄ってみたりしてッ。
少女の痛いくらいの
嫉妬と疑念の視線を
背中に感じながら
「…カノンのアタマを抱えて
この位置でキープしてて」
まさか
セイから与えられたのが
カノンくんを抱き留める
お役目とはッ。