「トーコ、灯りを!」

セイが
私の手首を引っ張り寄せて

カノンくんの口の中を
照らさせた。


…なんて罪深い存在だと
つくづく思うッ。


セイが
カノンくんの
鼻やら耳や目を

順番にチェックしていると


「う…」

カノンくんがやっと
意識を取り戻した!!!


「俺が誰だかわかるか?」


セイがカノンくんに
質問すると


「…やたらと威張ってる
トーコさんの弟」


カノンくんの返答に

「!!!!!」

セイがカノンくんの胸を
圧迫するッ!!!


「ゲホッ、ゴホホッ」

カノンくんが
その痛みに
むせ返りッ!!!


「…いい心臓
してるじゃないか、え?」

セイのサディストぶりが
炸裂したッ。


「水を飲んでても
吐かないし

視界にも異常がなく
手足に痺れがないのなら

ただの脳震盪だろう」


すっくと
立ちあがったセイの背中を

少女の腕の中

「……」

カノンくんが見上げている。


だけど。

それはいつもの
あの挑戦的な目では
なくて。

どこか柔和な
やさしい顔で。