「!」
私の視線に気づいた
カノンくんが
嫌なトコを見られたと
言わんばかりに
顔を背け
少女の腕の中から
勢いよく立ちあがった。
「おいおい。
大丈夫なのかよ」
セイは苦笑しながら
矢籠の中から
新しい縄を取り出して
自分の腰に結わえると
「…僕が
くたばってくれた方が
本当はよかったんじゃ
ないんですか?」
…もういつもの
あのカノンくんの
挑戦的な目に戻ってる。
「残念ながら
お前なんぞ俺の眼中にない」
セイが
私の腰を引き寄せて
自分と私のカラダを
ロープで繋ぐ。
「…いつだって
いっしょだからな」
カノンくんの
キツイ視線を無視しながら
セイは確かにそう言って
私に笑い掛けたのに。
雨はやむコトを知らず。
残忍な濁流は
ふたりを引き離すべく
うねりを上げて
待ち構えていた。
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