自分と私だけが
助かればいいのなら

もっと簡単に

あの地下道から
抜け出すコトも出来たのに。


「トーコ…」

「セイ」


シッカリと
その力強い腕の中に
保護されて

私は
しっかりと目を開けた。


「お前、目が真っ赤だぞ」

ぼんやりした視界の中
セイが確かに笑ってる。


「ああ。
美味いコーヒーが
飲みたいな」

なんて

セイらしい。


病院への搬送を
断わって

まばゆいフラッシュの中

セイは私のカラダを
横抱きした。


カメラマン達が
セイに先を譲り

目の前に道が出来る。


「…なんだか
安心したら
お腹が空いたよ」

「俺はトーコが食べたい」


私の好きなヒトが
アナタで

本当に良かった。