泥のように眠った翌朝。

私は自分のベッドで
目覚めた。


「昨夜は家の電話が
鳴りっ放しで
大変だったんだぞ」

出社前のパパが
スーツ姿で現れる。


その日の
夜のニュースで

昼間の地下道脱出劇が
報道されていたらしく。


「ママ、朝一番に
コンビニへ行ってきてね。

新聞全紙揃えちゃったわ」


ママが楽しそうに
新聞を私に見せた。


【お手柄!】
【カッパのトーコちゃん】


「げげ!?」

怪しげな
スポーツ新聞の一面に
デカデカと

濁流の中
半分だけ顔を出して
泳いでいる私の姿ッ。


私のアタマの上に
くっついて見えるのは

流れていた板きれかッ。


「ここの新聞って
【珍獣発見】とか
よく一面を
飾ってるんだよな」

パパが苦笑いして。


「スターだな。トーコ」

セイが
嫌味を飛ばしながら
私の部屋に入ってきたッ。