少女の泣き声に
呼応するように
ハシゴが揺れてッ。
「セイッ。
早くその子を下に
下ろして上げて!」
思わず私も叫んでしまうッ。
「トーコさん。
ロープ!」
「え」
カノンくんの声に
私は
滑車の方向を見ると
滑車を通るロープの片方を
カノンくんが
ハシゴを支えながら
手繰り寄せていて。
「手を伸ばして
ロープを自分の方に
手繰り寄せてください!」
と言われましてもッ。
どう見ても
手が届きそうに
ないのですがッ。
まさかアナタは
私に飛びつけ、とでもッ!?
「トーコ!
カサを使え!」
「あ」
少女の手の中の折り畳み傘。
「…貸してくれる?」
少女の方に
めいっぱい手を伸ばして
みたけれど。
必死に両手でハシゴに
しがみついている少女に
一瞬とは言え
片手を離させるコトなんて
できるとは思えない。
まずは
少女の体勢を安定させて
楽にしてあげなくちゃ。
「足首じゃなく
ヒザを
ハシゴに引っ掛けたら…」
なんて
余計なコトを言った
と思っても
もう遅い!!!!!
「おいッ
何を勝手に…ッ!!!」