「!!!」

懐中電灯を持っている
カノンくんの手を

足の甲で持ち上げて

少女に向かって
灯りを向けさせ

少女を恥じらわせるセイを


「……」

黙って見上げている
カノンくんの
目がコワイですッ。


…本当にもう
みんなッ
勘弁してくださいッ。


フォローのコトバも
みつからず

ただただオロオロと
戦況を見つめるしかできない
自分が情けないッ。


なのにッ!

さっきから思いっきり
トラブルメイクしている
セイは

何もなかったように

矢羽にロープを括りつけると

弓に沿わせた矢先を
こちらに
向けてきてッ!!!!!


「弦の張りは
まあまあだな」

ってッ。

「セイは弓なんて
経験なかったよねッ!?」


「流鏑馬なら
馬術部でやったコトがある」


アナタは自信満々に
力強く弓を
引いていますけどッ。


まさか

もしや、とは
思いますが

それをこちらに向けて
放とうとしているんじゃ
ないでしょうねッ!!!


銃刀法に
引っ掛からない
オモチャに近い矢とはいえッ

暗闇で
光ってる切っ先が
コワイですッ。


「流鏑馬って
馬の上から的を射る、って
ヤツだよねッ」


確かに走っている馬から
射るのに比べれば

普通に射るのなんて
簡単なのかも
知れないですけどッ。