「流鏑馬は
的までの距離がせいぜい
5mくらいですからね。
素人でも
タイミングが合えば
当たりますよ」
カノンくんが
持っていた懐中電灯を
セイの顔面に当てるッ。
「……」
「……」
カノンくんッ。
アナタは今
この状況がわかって
いるのでしょうかッ。
「…そう言うお前だって
上に向かって
矢を放ったコトなど
ないだろうが!」
「…初速v、角度θで
高さy0から射出した時の
放物線の割り出し方なら
中2のときに
授業で習いましたから」
カノンくんは自分の指の幅で
ハシゴの間隔を測ると
おおよその
高さを推測して。
「…それに
そんな怪我した指で
弓を引いたら
指をまた傷つけますから」
懐中電灯を
セイに押しつけて
セイから弓を奪い取った。
…カノンくんッ
最初からそのセリフを
言ってくれていればッ!
セイだって
素直にアナタに
弓を譲っていたかと
思われますッ。
「…矢についている
ロープのコトが
計算に入ってないだろう!」
セイは自分のケータイを
取り出すと
「高1で習うから
出来なくても仕方ないか」
親指で
キーボードを押し始め。
「この角度でココを狙え」
ってッ!!
セイッ!
アナタが懐中電灯で
照らした先は!!!!!