「無理ッ!

今、手を離したら
ハシゴが…!」


「ハシゴなら

カノンと俺で
押さえてるから!」


「……」

セイの苛立っった声に
下を覗き見ると

確かに
セイとカノンくんが
ハシゴを押さえていて。


「…大丈夫かな」

私はそっと片手を
離してみる

…とッ!!


ぐらりッ!


私が掴んでいる方に
重心が偏って

「きゃ」

ハシゴがくるりと
回り掛けッ!!!!


「大丈夫だから
トーコと俺達を信じて
お前は動くなッ!」


セイが少女に向かって
怒声を浴びせたッ。


「…はッ、は、はあああ」

び、びっくりしたッ。


どうやら
私のミスではなく

少女があまりの緊張から
ハシゴの上で
動いてしまったのが
原因らしいッ。


「待っててねッ。
もう少しだからねッ」

私は少女と自分を
励ましながら

片手でロープを掴んで
矢を手繰り寄せた。


「裁縫の要領で
通せばいいんだからな!」


お前の得意分野だろう、って

セイは
簡単に言うけれどッ


「よッ、ほ」

カツ、カツン、と

弓先は滑車に
触れはすれども

後少しのトコロで
届き切らないッ。