本気ッ♂028
「あれ?」
「こんなトコにいたんだ?」
「急に姿を消したから
心配してたんだよ〜」
通路の向こう側から
姿を見せた
3人のオンナノコが
少女の背中に向かって
声を掛けてくる。
だけど
「……」
少女は黙って俯いたままで。
「どうしたのよ〜?」
「お尻が泥だらけじゃない〜」
少女の両サイドから
オンナノコ達が
取り囲むようにして
少女の顔を
覗き込んでいた。
「……」
…3人とも
同じような前髪をして
同じような背格好で。
制服のスカートの丈の長さや
ソックスのチョイスまで
みんなお揃いで。
じっくり見ないと
区別がつきにくい。
…ふくふく少女の
友達みたいだけど。
新体操部の公開練習を
一緒に見学していた
オンナノコ達かな。
ふくふくホッペをした
オンナノコは
シッカリと
記憶に残っているけれど。
他の子は
少女と同じ制服を着ていた
オンナノコ
というくらいの印象しか
残ってない。
4人で並んでいると
ひとりだけ
ぷりぷりの
抜けるように白い肌を
しているからなのか。
少女の容姿は
確かに目立って見えた。
校則で決められているのか。
仲がいいから
制服の着こなしも
似てくるのか。
「…ねえ。このおねえさん。
どうして
こんなトコロにいるの?」
穏やかな口調。
やわらかな笑顔を
私に向けてくる
少女のご学友に
違和感を感じてしまうのは
何故なのかッ。
ご学友達の問い掛けに
答えるでもなく
その場を逃げ出そうと
するワケでもなく。
あの饒舌だった少女が
ただ黙って
俯いているだけなのが
あまりにも
気味が悪過ぎだった。