その手には

少女とお揃いの
折り畳みのカサッ。


学校の先生から
持つように指導されている
みたいなコトを

少女が自慢げに
語っていたけれど


…本当だったんだ。


だけど。

まさか
そんなカサを
武器に戦おうなんて

考えてはいない、とは
思うけどッ。


危険な匂いのするカサから
流れ落ちていく滴の行く先。

「……」

オンナノコ達の足先に
私は
白ペンキの飛び散った痕跡を
発見する。


「…私の学校の
女子新体操部の部室の窓に

落書きしたのって」


…あえて私は

アナタ達でしょ、とは
言わなかった。

のに!!!


オンナノコの中のひとりが

「何?、このヒト」

わざと私に聞こえるように
ふくふく少女に
耳打ちをしたりしてッ!!!


「……」

少女は怯えた目を
私に向けてくるッ。


「この子がおねえさんに
何を語ったのかは
知らないけれど」


少女に耳打ちしていた
オンナノコが

好意的な笑みを
私に向けてくるけれどッ。


平和的な様子とは正反対の

私に対するそのタメグチは
何なのかッ。


だけどッ。


「…あはッ」

そんな彼女達に
笑顔を返してしまう
弱い自分が哀しいですッ。


やさしい笑顔の
根底から匂い立つ

高圧的なその香りッ。


まさに
我が家の誰かさんを
彷彿させますッッ。


なのにッ!!!!