「…汚〜い」

「え」


「鼻水、出てますけど」

「!!!!」


雨に濡れて

髪の毛から流れ落ちてくる
滴なんだか

鼻水なんだか。


もう自分でも
よくわからなくなっていて。


ゴシゴシゴシッ。


「コートの袖口で
鼻水を拭くなんて
信じられない!!!!」


私を取り囲んでいた
オンナノコ達が

一斉に後ずさったッ。


「……」

情けないけど

何だかここまで
醜態をされしちゃったら

もうどうでも
よくなってきて。


「…私、急いでるから」


ローラースケートの
カカトを鳴らして

「アナタも一緒に来る?」


私がお節介にも
ふくふく少女に
声を掛けてしまったのは

きっと

友達の落ち込んだ様子にも
余裕然としていた
ご学友達に対する

反発からなのだと思う。


なのにッ


「行くなら
おひとりでどうぞ」


なんてッ!!!

どうして
ご学友が答えているのかッ。


「彼、駅長室から
釈放されたらしいから

その格好で
もし駅で出くわしたりしたら
最悪でしょ」


ご学友のひとりが

ふくふく少女のスカートを
また引っ張った。


「…彼って。

もしかして
カノンくんのコト?」