ううん。

と、言うよりも

そんな大事なカノンくんを
痴漢だと騒いで
陥れておいて

どんな顔して
カノンくんの目の前に
出ようというのか。


「……」

どうしても
合点がいかないんだけど、な。


カノンくんが
捕まっているトコロを
遠くから見て

ほくそえんでやろうとか?


ただ単に
後先を考えず衝動的に
私についてきて
しまっているだけだとか?


それとも

私をこうして
油断させておいて

何かよからぬコトを…!


「うおッ!?」

ズデデデデーン!


「…あ滑りやすいから、って

私、ちゃんと
注意しましたよね?」


見事に階段から足を踏み外して
お尻から滑り落ちてしまってた
私の姿を

少女が真横で
見下ろしていたッ。


「……」


「…フツーは
大丈夫ですか、って

声、掛けない?」


「大丈夫じゃないんですか?」

「…大丈夫ですよッ」


プリンとしたお尻が
私の横を過ぎ去ってゆくッ。


…こんな屈折した性格で

よくツルンでくれる友達が
いるモンだッ。


「……」

ってゆ〜か。


…友達はどうしたのかな。