そんな私の様子を見ながら

「先を急ぎますよ」


自慢するのかと思いきや

少女は私の腕をぐんぐんと
引っ張っていく。


「カノンくんが
気に入ってくれた…」

書展で入賞したコトよりも

カノンくんに
評価されたコトの方が

彼女の中では

きっと
とてつもなく
おおきくて

素敵なコトで…。


…悪い子じゃないんだよね。


ただ
カノンくんに対する気持ちが
強すぎて

自分でも持て余しているだけ
なんだろうな。


なんて。


「お〜い。
電話が鳴っとるぞ〜」


弓道場に響いていた
電話にも振り返りもせず

少女は
弓道場の奥へと進んでいく。


「なんじゃ。
誰もいなくなったのかえ?」


ケータイを分解し始めていた
おじいちゃんが

作業の手を止めて

しぶしぶ電話口に出た。


「あ〜、もしもしッ。
これは留守番電話ですぞ。

ぴいいいいいいい」


おじいちゃんは
いつもの調子で強引に
電話を切ろうとするけれど。


『すみません!
切らないでください!

ボクです!』


電話の向こうから
聞こえてくる

カノンくんの声。


このほんの一瞬の行き違いが

私達の明暗を
分けるコトになろうとは…。


私も少女も
すでに地獄の1丁目に

足を踏み入れた後だった。





熱愛ラッシュ!

本気ッ♂026

≪〜完〜≫


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