「なんてタイミング!」
私は神様に感謝して
「もしもしッ、セイッ?」
コトバ尻に
音符マークをつけて
しまいそうになるくらいの
勢いで
電話に出てしまうッ。
『…お前、今
どこにいるんだ?』
「え…」
『どこにいるんだッッ!?』
セイの怒声に
私はケータイ電話を
思わず耳から離したッ。
「…どうしようッッ」
しっかり
お怒りモードですッ。
雨にぼやけていく
ケータイ電話の画面の
セイの名前を見ながら
自分の心臓の音が
口から飛び出しそうに
なっているッ。
…コトの顛末を
何からどうやって
話せばいいのかッ。
ううんッ。
このお怒りモードのセイに
はたして全てを正直に
話してしまっても
いいんだろうかッ。
「……」
…ダメだッ。
恐ろし過ぎるッ。
「…ケータイ濡らしてたら
ヤバいんじゃないんですか?」
ケータイの前で
苦悩していた私の背後で
私に注意を促す
少女の声がしてッ。
「そッ、そうだねッ」
私はケータイを
制服の脇の部分に
突っ込んで
雨露を乱暴に拭き取った。
「…オヤジみたい…」
私に向けられた
少女のセリフッッ。
お嬢さまなのに
そんなジャンクなコトバを
使うんですねッ。