『トーコッ!
お前ッ、ふざけてるのかッ』

「……」

ケータイの向こう
セイのどデカイ声が
聞こえてきてッ。

…拭くときに
変なキーを
押しちゃったかなッ。

セイの声のボリュームが
尋常ではなくッ。


…切っちゃおうかなッ。

思考のМAXを超えると
現実逃避に
向かってしまうのは

私の悪いクセですがッ。


再び雨にさらされて
持っているケータイも

セイの怒声にビビって
冷や汗を噴き出している
かのように見えるッ。


なのにッ!!!!


「トーコさんは
私といっしょに

地下道を通って
そっちに向かっていますから」

なんてッ!!!


私の手に持っていた
ケータイの受話口に向かって
少女が話り掛けたりしてッ!


「セイッ
地下道を通ってなんてッ
ウソだからねッ!!!!」

私は大慌てで
ケータイを耳に当てるもッ


『ツーッ、ツーッ、ツー…』

電話がすでに切れていたッ。


ううんッ。

…キレたのは

ケータイではなく
セイかもしれないッッ。