「…気を抜くと
竹垣の隙間から矢が
飛んでくるとかッ!?」
だとしたら
まさにリアルな
デンジャラス・ゾーンッッ!
「…まさか本当に
私を事故に見せ掛けて…?」
「……」
「……」
私のブラック・ジョークを
見事にスルーして
私のヒジを引っ張ったまま
先を急ごうとする少女ッ。
…私の額に流れるモノは
雨なのか汗なのかッ。
背中を打ちつけてくる
雨までが
私に先を急げと
追い立てているようで
「…ごっくんッ」
私は思わず
生唾を飲み込んだッ。
「門まで回っていたら
時間が勿体ないですから」
少女が竹垣の中でも
おおきく隙間が空いていた
箇所を見つけ出すと
「はい、どうぞ!」
なんてッ!!!
私のカラダを強引に
竹垣の奥へと
押し込もうとしてッ!!!
「先に
入ってみてくれないかなッ」
私は懸命に抵抗するッ。
「…私がデブだから
通れないんじゃないかと
思ってるんですか?」
えッ。
「……」
「……」
指摘されて
初めて気がついたッ。
確かにそこは
彼女がカラダを通すには
少々手狭かもしれない
隙間でッ。
だけど。