思わず真偽を問い質そうと
私は彼女に近寄ろうとして
「ここに練習試合にきていた
カノンくんに
ウチの道場にも
アナタの書を飾りたいから
一筆書いて貰えませんか、って
声を掛けられて」
少女が初めて口にした
カノンくんと少女の接点に
「……」
私は自分の質問を
飲み込んでしまっていた。
…少女が指さす
板張りの黒い塀の向こう
目の前に広がる
屋外の弓道場の一部が
確かに覗き見えるけど。
「弓道場の裏に
防空壕へと続く入口が
ありますから」
ビチャビチャ、と
粘着質な音を立てて
少女が芝生の中を
突っ切っていこうとする。
白いソックスに
泥が跳ね上がるのを
危なっかしく見ていたら
案の定!
雨ですっかり
緩んでしまっている地盤に
足を取られて
彼女がおおきく
転んでしまったッ!!!!
「大丈夫ッ!?」
こんなヌカルミに
皮靴で足を踏み入れようと
するコト自体
無理があるッ!
「…ちょっと、待って!」
今、そっちへ行くから、と
トコロドコロに
顔を出していた草むらを
慎重に選びながら
彼女の傍に
私は近づいていく。
…もし彼女に抱きつかれて
服を汚されても
もうどうせ
ずぶ濡れだもんねッ。
なんて
目の前のアクシデントに
気を取られていた私は
本当に警戒しなければ
いけない相手を
あまりにも簡単に
見過ごしてしまっていた…。
熱愛ラッシュ!
本気ッ♂025
≪〜完〜≫
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