私は持っていたカサを手放し
少女の手を引っ張って
立ち往生していた車達の間を
縫いながら
車線間の植木に逃げ込んだ。
パッパッパーーーー!
パーーーー!!!!
「ちッ」
ドライバー達の
クラクション抗議に
オトコ達はしかたなく従って
車を発進させたよう
だったけど。
「…また戻ってきたら
どうしよう」
このままこの先を
歩いていって
もし待ち伏せされていたら…。
「やっぱり駅に戻って
電車に乗った方が安全かな」
セイに相談したいけど
そのセイが
まさに今、ピンチの状態で。
ケータイの時計を見ると
とんでもないロスタイム。
「ホームで素直に
次の電車を待ってた方が
よかったよ…」
はあああああああ。
「こんな
びしょ濡れ状態じゃ
タクシーも止まって
くれないだろうし…」
溜息が止まらない。
やるコト為すコト
全部が裏目に出ているような
気がするけど
こんなトコロで
めげている場合ではないのは
わかっていた。
「とにかく前に進まなきゃ…」
私の決意表明を
神様が聞きとげたのかッ。
突然、目の前の雨が消え…。
「あ…」
顔を上げると
少女が私にカサを
差し掛けていた。
「…近道があるんですから
さっさと行きましょうよ!」