全く効果がなかった、って

少女がちいさなカサを
くるん、と回すと

フリルが可憐に波打って

雨粒が飛び散ったッ。


「……」

…確かに派手なカサだけど。


薄いピンクの花柄の
フリルのちいさなカサは

この雨の中だと
完璧に霞んでますッ。


…駅のホームで
このカサを差さずにいたのは

彼女なりに
目立ちたくなかった
からなのか。


それとも

カノンくんとトラブって

カサを差す気力もなく
そこに座っていただけなのか。


どっちにしても
彼女が傷心していたのは
間違いない事実なんだろう。


だけど。

この子って
どこまで信用して
いいんだろうか。


「…私有地を通りますから」

変なヒトも
追い掛けてこれないし、って

少女は私をリードして
ドンドン
先を歩いていこうとして。


まだどこか彼女への疑念が
スッキリと晴れないまま

中途半端な相合傘で

私は歩みを進めてしまっても
いいのだろうか。


「ごめん!」

急がば回れ!

「やっぱり駅に戻って
ちゃんと電車に
乗るコトにするからッ」

少女の親切を
振り切ろうとした私を


「……」

少女が
捨て犬のような
何とも言えない怯えた目で
受け止める。


「あ、いやッ。

別にアナタが
信用できないとか
そういうんじゃなくてッ」


「……」

「だから、その…」

雨空は
私の不安を代弁するように
どんよりと重く。


まるで
未来を予見するかのような
その激しい雨は

注意報から
警報に変わっていた…。













熱愛ラッシュ!

本気ッ♂024

≪〜完〜≫


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