本気ッ♂023


カノンくんの為…?

「…そんなんじゃないから!」


「そんなんじゃないなら
何なんですか!?」


「……」

何なんですか、と
言われてもッ。


…アナタには
カンケイないでしょ、と

答えてやりたい
トコロだけれど

彼女は間違いなく

今回の騒動の
元凶、なワケでッ。


これ以上
彼女と何かを言い合っても

私がいらないコトを
口走ってしまうのは
目に見えていたから

「急がなきゃ!」

私は少女をスルーして
再び階段を
駆け上がろうとした。


「逃げるんですかッ!?」

「うおッ!?」

またしても
コートを引っ張られッ!!!


豪雨にさらされて
滑りやすくなっていた階段から

「…危うく落ちるトコロ
だった…ッ!!」

ドキドキドキッ。


「落ちなかったのに
大袈裟なんですよ」

「……」


…この変に冷めたモノ言いッ。

何かビミョ〜に
カノンくんに
似ているような気がするのは

私だけだろうかッ。


好きなヒトに似てきたのか。

それとも
自分に似たタイプだから
惹かれたのか。


「こんな風に
自分だけ出し抜いて
カノンくんに逢いにいって

あるコトないコト
面白おかしく私の悪口を
吹き込むんでしょうけれどッ」


…あの。