「……」
「セイ〜…!!!」
このひとり相撲な状況に
さすがの私も
何だか
すんごく疲れてきた…。
ぐらりッ。
「きゃ!!」
「!!!」
気を抜くと
また眠りそうになってッ。
「ごッごめんッッ!!!」
もう嫌だッ!!!!!
「何やってるん
ですかッ!?」
なんて責められても…。
「ん?」
今の声…。
「カノンくんッ!!」
少女の驚嘆の声に
ハシゴが
またおおきく揺れるッ。
下を覗き見ると
肩に筒状の荷物を掛けた
カノンくんが
揺れるハシゴを
手で支えていて。
「…遅いぞ、カノン」
セイが
持っていた懐中電灯で
カノンくんの顔を照らした。
「絆創膏に消毒液も
持ってきましたから
まずは
指の治療してください」
ここのドアを開けるとき
切っていたんでしょう?
って
懐中電灯を握っていた
セイの手首を
カノンくんが取った。
「…僕がこの指の怪我に
気づかなかったとでも
思いましたか?」
「……」
指を切ってたって…!
「セイが!?」