私の写真、って。
「もしかして
駅にばら撒かれてた
あのカラーコピーの…」
私はカノンくんに
コトの顛末を
問い質そうと思ったのに。
「……」
カノンくんが
修理し立てだという
自分のケータイを
こっちに向けていて。
…おおきな目。
カノンくんの目が
暗闇の中
光って見える。
…こういうトコロも
セイに似ている。
なんて
ドキドキしている場合じゃ
ないのは
わかっているけれど。
「…僕のルームメートが
僕をちょっと
からかってやろうとして
僕のケータイの
電池の裏に
トーコさんの写真を
貼りつけてた
みたいなんですよね」
カノンくんは
まるで釈明のコトバを
用意していたかのように
自ら
コトの顛末を
よどみなく話し出して。
「入っていた
トーコさんの写真は
実家から送られてきた
荷物の中に入っていた
おばあさまの
葬式のときに撮った
集合写真で」
邪魔だから、と
ゴミ箱に捨てていたのを
ルームメイトが見つけて
「あの集合写真の中
制服を着ていた女性が
トーコさんしか
いなかったから」
選ばれたのが
トーコさんだったコトに
他意はない、って
カノンくんは
ハッキリと言い切った。