本気ッ♂035
「調圧水槽ッ」
高台から流れてきた雨水を
調節しながら
川に流し出す、と言う
お役目を
それは長い間担ってきた。
「駅の向こう側に
新しい調圧水槽を造る為に
こっち側の川を
埋め立てたらしいんだ」
川へと
溜まった雨水を流し出す
排水口も
そのときに
いっしょに封鎖されッ。
「入口あって
出口なしッ!?」
調圧、なんて
もはや名ばかりでッ。
「それじゃあ
雨水がどんどん溜まる一方
じゃないッ」
「…お前のいる高さまで
雨水を溜めようと思ったら
何日も
雨が降り続かなくちゃ
ダメだろうな」
テンパる私に
セイがちょっと苦笑いする。
「何だッ!
なら、全然
平気じゃないッ」
私は胸を撫で下ろした。
のにッ。
「でも、おかしいですよね」
どんな大雨の日でも
この地下道に
水が溜まった状態なんて
「私、今まで
一度だって見たコトが
ないんですけれど」
「……」
「それに…
この中って
夏はいつも涼しいし
冬は暖かいのに
この異様な寒さって…」
…ふくふくホッペの少女が
次々と不安材料を
口にするッ。
「…セイ〜。
大丈夫だよね〜?」」
「……」