「何やってるんですかッ!

しっかり
支えててくださいよッ!」


…なんてッ。

それってッ
私が悪いんですかッ。


「先に警察に知らせるべき
でしょうか。

この場合レスキューだから
消防署でしょうか…」


両ヒジとカサを
ハシゴに
巻きつけるようにして

少女がケータイの画面と
ニラメッコしているけれど。


「…たぶん、そ〜ゆ〜のは
もう手配してると思うんだ」


意地悪なトコロはあっても
そ〜ゆ〜点では
抜かりのないセイだもん。


「洪水が
どうとか言ってたしッ

警察も消防もみんな
出払っちゃってるんじゃ
ないのかな」


「もしかして、私達ッ

助けの必要な
優先順位が低い、とか

判断されちゃって
るんですかッ!?」


少女が
まあるい顔を勢いよく
こっちに向けるッ。


「…ま、あ」


そ〜ゆ〜コトに
なるのかと…。


「私ッ!
落ちそうですよッ!?

手を離したら
確実に大怪我ですよッ!?」


「……」

「今のヒトッ
いったい
どんなバカな状況説明を
したんだかッ」


なんてッ。

半ばパニックしてる
少女を責めるワケには
いかないけれどッ。


…セイが今
この場にいたらッ

ハシゴを蹴られていたかも
しれませんッ。