「…連絡したのは
セイとは限らないし、ね?」


「それって

バカな連絡をしたのは
カノンくんじゃないかって
疑ってるんですかッ!」


「……」

…苦し紛れのフォローは

さらなる誤解を生み続けッ。


「カノンくんなら
警察とかに連絡もして

きっと
自らもハシゴとか
探しに行ってくれてるに
違いないです!」


自分の肉まんにばかり
固執している

誰かさんとは
違いますから、なんてッ

ひと言多いッ。


少女の訴えに呼応するように

不安定なハシゴが
怪しい音を立てて

また揺れたッ。


「カノンくんは
ウチの弓道場のコト
よく知っていますし!」

どこに何があって
誰に許可を貰えばいいのか
わかってますから

「きっとハシゴを持って
戻ってきますよね?」

…と

真っ直ぐな目で
私に同意を
求められましてもッ。


「…そ、だね」

としか

答えようもないと
言うのにッ


「持ってきますよねッ!?」

どうして
念を押すんでしょうかッ。


「持ってきて
…くれますよね…?」