いつの間に戻って
きてたんですかッ!!!
水音も立てず
まるで忍者のようにッ。
「お望みのハシゴだけれど
ここの物置にあったヤツは
何だか出払っちゃってる
みたいでさ」
この大雨のせいで
駅員室に電話しても
誰も出ない、と
忍びの術を使うセイが
楽しそうに
話し掛けてくるッ。
…いったい
どこから
話を聴いていたのかッ。
余裕めいた顔で
こっちを見上げているセイが
かえって怖いッ。
「…水の音が変わった、って
何かわかったの?」
私は半ば強引に
話題を転換させたッ。
「階段の方からも
水が流れ込んできた」
「!!?」
それってッ。
「もしかして
とっても恐ろしい
状況なのではッ!?」
「…そうとも言うな」
そうとも言うな、じゃ
ありませんッ!!!!!
「ここって
天井も結構高いし」
セイは
持っていた懐中電灯で
天井を照らして
みせるけどッ!!!
「レスキューのヒトは
来てくれないのッ!?」