「そんなの待たなくても
水が充分に溜まってきたら
飛び込み台から
プールに飛び込むつもりで
飛び下りればいいコトだ」
「!!」
確かにッ。
普通に飛び下りてたら
下手すりゃ
大怪我モノだけど。
「駅側の入り口は
閉めてきたから
水は入ってこないし」
水の流れに任せて
駅の方角へ
押し流されるようにして
泳いでいけば…。
「よかったねッ!
私達、助かるよ!!!」
少女に嬉々として
話し掛けたのにッ!!!
「…私ッ
カナヅチなんですけど」
「え?」
「プールの授業で
溺れ掛けたコトがあって
水に顔をつけるのも
怖いです…!!!」
「……」
「…その立派なカラダなら
ふつうにしてれば
浮くだろうに」
「!!!」
セイがまた
不用意なひと言を
口にしてッ!!!!!
「どういう
意味ですかッ!?」
「ほらッ!
カサを持っているから
じゃないかなッ!」
あはははは、って
必死の誤魔化しッ。
なのに!
「泳ぎたくないなら
そこでいつまでも
そうしていれば?」
「セイッ!」