「私がこのおねえさんから
肉まんを奪った、とでも

疑っているんですか!?」


少女が反応する度に

さっきから
少女の動きが振動として

ハシゴを支えている
私の手にも
伝わってきていて。


もおおおおおおおッ!

限界ッ!!!


「セイッ!
いい加減ッ
助けてよおッ!!!」


「…やっと
俺に助けを乞うたか!」

「はいッ!?」


「お前はいつも
困ったときには

俺がお前を助けるのが
当たり前だと
思っているだろう?」


…だってッ!!!


「困ってるヒトを
見掛けたら

誰だって助けるのが
フツーだと思うッ」


「お前は誰彼なしに
情けを掛けて貰って

嬉しいのか?」

「助けて
貰えるのならッ!!!」

私はプライドを捨てて
セイに嘆願したのにッ!


「その割に

駅で見知らぬおばあさんに
自殺するんじゃないか、って
心配されてたときは

迷惑そうにしてましたよね」


「……」

少女が私に
嫌な過去を思い出させるッ。


だけど。

ちょっと前まで

崩れ落ちそうな
不安定なハシゴの上で

あんなにも
恐怖に
身を縮ませていたのに…。


プルルルルッ。