この余裕が
少女をリラックスさせる為の
セイの策略と言うのなら

私もこの状況に
耐えもしますがッ。


「ああ、そうそう。
いいんじゃない?

俺、結構
そういうのも好きかも。

馬術部で
似たようなの
触ったコトがあるから。

うん、そう」


この期に及んで
馬の話ってッ。


「走ってる馬の上からでも
いい線いってたし。

自慢だよ!、自慢!」


…何でしょう
その優雅な長電話ッ。


私がどんなに
気を抜けない
限界ギリギリの状況なのか

アナタは本当に
わかっているのでしょうかッ。


ぐぐぐ、と
掴んでいたハシゴを
引き寄せるようにして

私は身を乗り出しッ


「セイッ!

いい加減、意地悪せずに
助けてくれても
いいじゃないッ!!!」


私はセイに
決死の覚悟で
訴えたのにッ!!!


「ちょっとッ!

急にハシゴを
揺らさないでくださいッ!」


セイのリアクションを
確認する前に

少女に思いっきり
自分の軽率な行動を
批難されッ


「ご、ごめんなさい」

…勢いを削がれてしまうッ。


「…ううう…」

私は悔しさに
その場に
突っ伏するしかなくッ。


腹立つな〜ッ。


「ああ、また鼻水がッ」