「ごめんッ、セイッ。
急いでセイの元に
駆けつけようと
思ったんだけどッ」
「思うだけなら
簡単だよな」
「……」
ああッ。
アナタはどうすれば
許してくれると
言うんですかッ。
ここまで
頑張ってきたコト全てが
否定されて
責められる。
申し開きしたいコトなら
たくさんあるけれど
聴く耳を持たぬと
言わんばかりの
セイの頑なな態度に
思わずダメ息が出た。
「あのッ!
ホントにそのヒトは
急いで駅に向かおうと…!」
「!?」
ふくふく少女がッ!?
「私が近道だから、って
この通路を教えたんです」
って。
お友達に
自分の言いたいコトを
半分も言えない子が
私の為に…?
なのにッ!!!!!
「おっと、お嬢ちゃん。
パンツ見えるよ〜」
目を開けると
セイが
持っていた懐中電灯を
少女の顔に
当てたり外したりして
甚振っていてッ。
少女が豊かなカラダを
ちいさくして
ハシゴにしがみついている。
不幸中の幸いにも
少女の取った体勢は
ハシゴの上
最高にバランス良くなって
ハシゴを掴んでいた私の手も
より支えやすくなった。
…少女には可哀そうだけど
今はこのままにしておこう。
だけど。
セイにこのハシゴの腐食を
どうにかして
伝えたいんだけれど。
少女に悟られずに
セイに気づいて貰うには
どうすればいいんだろうか。
「あれ…?」