静かだと思ったら
さっきまでいたハズの

カノンくんがいない。


オブザーバーになって
高みの見物しているのか、と
思いきや


「…どこにいったんだろう」


私は地下道の奥を覗き込む。


「…そうだよね」

ふくふく少女が

カノンくんの前で
私を擁護するなんて

変だと思った。


カノンくんの姿が
見えなくなった今のうちに

私とセイを和解させて

自分もこの状況下から
逃げ出したかったんだろう。


だけど。

こんな一大事に
私達を残して

自分ひとり
どこかに
行ってしまうなんて。


確かに
カノンくんにとって

ふくふく少女との
顔合わせは

気まずく
面倒臭い状況では
あるかもしれないけれど。


「カノンくんって…」

私が最後まで
言い終わらないうちに


パッ!

セイがまた私に
ライトを向けてきて

まぶしいッッ!!!!!

私の顔の上で
点けたり
消したりしているのが

目を瞑っていてもわかるッ。


「お前はカノンのコトが
気になるのか!?」

なんて耳聡いッ!

地獄耳のオトコッ!!!