「だいたい
何でお前はそんなトコロに
登ってるんだ?」
高いトコロに登りたがるのは
煙とナントカだぞ、って
セイが下から
ムカつくセリフを
デッカイ声でホザいてくるッ。
「だって!
ふたつしかない
地下道の出口の一方が
真っ暗だったら
こっちに進むしか
ないじゃないッ」
「そうなんですッ!」
少女の声が
またふたりの間に
割り入ってきた。
「まさか友達が
電球を全部
割っちゃってたなんて
思いもよらなかったから!」
え。
「だから私ッ急いで
走ってきたんですけどッ」
「……」
ローラースケートなら
あっという間の長い通路。
困ってるんじゃないか
迷ってるんじゃないか、って
この子は私の為に一生懸命
ここまで追い掛けてきて
くれていたんだ…。
少女の健気な懺悔。
なのにッ!
「…お前の
そのお友達とやらのせいで
こっちはいろいろ
嫌な思いを
させて貰ったがな」
なんてッ
恨み節たっぷりの
セイの愚痴が始まったッ。
「カノンがこの通路の管理者に
電話したら
トーコらしきオンナノコを
見掛けたって言うからさ」
いざ地下通路を覗いてみると
中は真っ暗で
いつもは点く電気も
点かない。
「駅に戻って売店で
ライターを買おうとしたら
学生服には売れません
なんてさッ」