「えッ」

私の大声に驚いた少女が
足を踏み外し掛け

慌てて
力を入れて
踏ん張ってしまった瞬間。


ガコッ、ピンッ!

嫌な音がして


ぐらり、と

少女のカラダが揺れた。


カツーン、カンカンカン…。


何かが落ちて
転がった音…?

「だッ、大丈夫ッ!?」


私が高台から
下を覗き込むと

私が登っていたときには
シッカリと
壁に固定されていたハシゴが

斜めに反って。


「…ボルトがッ
ボルトが抜けてッッ」


少女の声が
ひっくり返っているッ。


ハシゴの半分くらいの
トコロで
少女は固まっているけれど。


…この場合。

ハシゴからそっと降りろ、と
指示した方がいいのか。

それとも
動かさない方がいいのか。


私なら迷いもなく
ワンステップで
飛び降りれる高さだけれど。


ギギギギィ…。

私の結論を
待つまでもない、と
言わんばかりに

ハシゴがゆっくりと

少女の背後の壁に向かって
おおきく傾き出して!!!


「いやあああああああッッ」


「後ろに体重を掛けちゃ
ダメえええええッッ!」

私は思わずハシゴに向かって
身を乗り出していた。


ゆ〜ら、ゆら。

一度おおきく揺れたモノの

「ぐうッ」

なんとかハシゴを
掴めていたみたいで。


錆びついた鉄柱が
私の手の滑り止めに
なってくれている。


しかも
ラッキーなコトに

足に必要以上に
シッカリと固定していた
ローラースケートの金具が

上手い具合に
壁の突起か何かに
引っ掛かってくれていて。


「取りあえずは
助かったッ」